グランツーリスモとDUNLOPの新たな融合 ― 住友ゴム工業のブランド戦略を読み解く

ゲームとリアルをつなぐパートナーシップ

住友ゴム工業が「グランツーリスモ7」「グランツーリスモ ワールドシリーズ」の公式タイヤパートナーに就任したというニュースは、自動車ファンだけでなく、ゲーム業界やブランド戦略の観点からも注目に値します。特に、世界中に根強いファンを持つ「グランツーリスモ」シリーズと、130年以上の歴史を誇るDUNLOPブランドの結びつきは、デジタルとリアルを横断する新たなマーケティングの形を示しています。

R.I.S.E. 2035とグローバルブランド展開

今回の取り組みは、住友ゴム工業の長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」の一環です。2025年には欧州・北米・オセアニア地域でのDUNLOP商標権を取得し、グローバルで統一的にDUNLOPブランドを展開できる体制が整います。
「グランツーリスモ」という世界的なプラットフォームにDUNLOPを登場させることで、消費者に対してブランドの歴史や技術力を効果的に訴求でき、特に若年層への浸透が期待されます。

ゲーム内での具体的展開

ゲーム内では、以下の形でDUNLOPが登場します。

  • ブランドセントラルにミュージアム追加

130年以上の歴史やモータースポーツ活動を紹介

  • サーキット広告

トラックサイドにDUNLOPロゴを表示

  • チューニングショップ

プレイヤーがDUNLOPタイヤを選択可能

  • タイムトライアルイベント

DUNLOPをテーマにしたゲームイベント開催

これは単なる広告露出ではなく、プレイヤーのゲーム体験に「選択肢」として溶け込む点が大きな特徴です。ブランドがゲームプレイそのものに影響を与えることで、ユーザーはDUNLOPを“体感”できる仕組みになっています。

デジタル時代のモータースポーツ戦略

住友ゴムは100年以上にわたりモータースポーツ活動に関わってきましたが、今後は「リアルサーキット」だけでなく「バーチャルサーキット」にもフィールドを広げることになります。これにより、従来のスポンサーシップやレース活動では届きにくかった層にもリーチできる点が強みです。
とりわけ、eスポーツやバーチャルドライビング体験が若者のモータースポーツ入門の入口になりつつある現在、この戦略は時代に即したものといえるでしょう。

まとめ ― ゲームがブランド戦略の最前線に

今回の提携は、住友ゴム工業がグローバルにDUNLOPブランドを再定義し、次世代の顧客に訴求する重要な一歩です。
「グランツーリスモ7」におけるDUNLOPの存在感は、単なるタイヤメーカーの枠を超え、歴史と未来をつなぐブランド体験としてプレイヤーの記憶に残ることでしょう。