中国が欧州特許庁で過去最高の出願数を記録──技術覇権争いの新たなステージへ

欧州特許庁(EPO)が2024年の特許出願に関する最新報告書を発表し、世界の技術競争の構図がさらに鮮明になりました。注目すべきは、中国からの出願件数が前年比0.5%増となる2万81件で過去最高を更新したことです。わずかな増加に見えるかもしれませんが、そこには中国の技術戦略の変化と、欧州を含むグローバル市場での存在感の高まりが読み取れます。

特許出願は「技術覇権」のバロメーター

特許出願数は単なる数字ではありません。それは各国・各企業が、どれだけ新技術を生み出し、保護しようとしているかの指標です。特に欧州特許庁のような国際的な舞台での出願は、「グローバル市場で勝負する意思表示」とも言えます。

中国、10%超の存在感──“Made in China”から“Created in China”へ

今回、中国の出願数は全体の10%超を占め、出願件数で日本を抜いて4位を維持しました。かつて「製造大国」と呼ばれていた中国は、いまや「技術大国」への道を着実に進んでいます。

特筆すべきは、ファーウェイが企業別ランキングでサムスンに次ぐ2位となったこと。さらにCATL(寧徳時代)やZTE、シャオミ、vivo、テンセントといった企業もトップ50入りし、技術分野の多様化と成長を裏付けています。

技術分野ごとの動きから読み解く産業の潮流

最も出願が多かったのはコンピューター技術分野で、AIやクラウド、ビッグデータなどが背景にあると考えられます。一方で、デジタル通信分野は減少に転じており、5Gの普及段階が進んだ影響が見て取れます。

興味深いのは、モーター、機器、エネルギー分野の出願が8.9%増と急伸している点です。これはEV(電気自動車)や再生可能エネルギー、スマート家電などの分野での技術革新が加速していることを示しており、中国企業が得意とする分野でもあります。

今回の報告書から読み取れるのは、中国が欧州での特許出願を「戦略的な投資」として捉えているという事実です。国家的な後押しの下で、企業は“グローバル・プレイヤー”として台頭しており、欧州や米国との技術覇権を巡る攻防はこれからさらに激化するでしょう。

そして私たち日本も、ただ過去の実績に頼るのではなく、「次の技術」でどう存在感を示していくかが問われているのかもしれません。