出願後、出願人(または特許・実用新案の出願人として記載された者)の名義を、譲渡・相続・合併・会社分割などの理由により変更する手続きです。
この手続きを行うことで、出願を受ける権利の主体が新たな名義人に正しく移転されたことを特許庁に届け出ることができます。
どのような場合に名義変更が必要ですか?
主に以下のようなケースがあります。
- 譲渡や持分放棄などを通じて、権利を特定の他者に承継させた場合(特定承継)
- 相続・包括遺贈・合併・会社分割等により、権利・義務を包括的に承継した場合(一般承継)
※なお、出願段階ではなく、すでに登録された権利(特許・実用新案)に対する移転については「権利の移転等に関する手続」が別途必要となります。
どのような手続をすればよいですか?
名義変更の届け出書を作成し、必要書類を添付して所定の窓口へ提出します。具体的には、以下のような流れとなります。
- どちらの承継形態か(特定承継/一般承継)を確認します。
- 承継の事実を証明する書類(譲渡契約書、持分放棄書、相続関係書類、合併承継証明書など)を用意します。
- 届出書類に必要事項を記入し、署名・押印(法人の場合は実印または実印により証明可能な代表者印)を行います。
- 提出先は 特許庁 となります(住所:東京都千代田区霞が関3-4-3 等)
書類に押印が必要ですか?
はい、押印が必要です。法人の場合は 「実印」または「実印により証明可能な法人の代表者印」 を用いる必要があります。
ただし、電子証明・オンライン申請が進む中で、該当する場合には証明書類の省略等柔軟な対応が可能な場合もあります。
名義変更手続きのタイミングに制限はありますか?
出願後、名義変更が発生した時点でなるべく速やかに届け出ることが望まれます。登録後の移転(特許・実用新案登録済みの権利)については別手続きとなりますのでご注意ください。
期限が定められているわけではありませんが、承継の事実を放置しておくと、後続の権利行使・ライセンス交渉・訴訟対応において不都合を生じる可能性があります。
手続費用や印紙代はかかりますか?
出願人名義変更届出について、一般的には別途印紙代・収入印紙が必要となるケースは少ないですが、書類の準備にあたって専門家(弁理士等)を利用する場合には、別途相談料・報酬が発生します。 (具体的な金額は案件内容により異なります)
当事務所では、名義変更サポートにあたって、申請書類のDraft作成から提出まで一括対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
名義変更が完了したかどうか、どう確認できますか?
名義変更届出を提出後、特許庁の審査業務部にて内容が確認・処理されます。届出から処理までの期間は案件によって変動しますので、しばらくお待ちください。処理完了後には、当事務所を通じて確認通知または処理証明書(写し)をご案内いたします。
また、公開出願・登録後の権利情報(J-PlatPat等)で出願人欄・権利者欄が更新されているかをチェックすることも可能です。
名義変更をしなかった場合のリスクはありますか?
名義変更を行わずに放置した場合、以下のようなリスクが考えられます。
- 実際の権利主体と記録上の名義人が異なることで、ライセンス契約や権利行使(警告・訴訟)時に相手方から名義の正当性を問われる可能性
- 将来的な権利移転・売却・銀行担保設定・M&A等の際に、記録面での不整合がネックとなる可能性
- 共同出願・共有出願の場合に、名義人の変更を放置すると共有者間の関係整理が困難になる場合
ご不明な点や「どのタイプの承継に当たるか判断が難しい」「証明書類の準備が複雑である」といったご相談がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までご連絡ください。出願人名義変更のスムーズな手続きを全面的にサポートいたします。
