知財で見る韓国産業の実力 ― 特許と商標でトップに立つ企業の顔ぶれとは?

特許・商標の登録数から読み解く産業競争力

韓国の特許庁が発明の日60周年を記念して発表した調査結果は、韓国の企業が知的財産をいかに戦略的に活用しているかを如実に物語っています。特許登録件数でトップに立ったのはサムスン電子、商標登録件数ではアモーレパシフィックが首位となり、それぞれの産業分野における圧倒的なプレゼンスを示しました。

技術革新の象徴 ― サムスン電子の13万件超の特許群

サムスン電子が保有する特許は13万4,802件にのぼり、韓国全体の登録特許数(約270万件)の**5%**を占めています。半導体、モバイル、ディスプレイなどグローバル市場での競争力を支えてきた技術力の裏には、着実な特許出願と取得の積み重ねがあります。2023年だけでも5,255件の特許を新たに取得しており、研究開発を企業成長の中核に据える姿勢がうかがえます。

同業他社の中では、LGエレクトロニクス(77,802件)、現代自動車(54,305件)などが後に続いていますが、サムスンの存在感は群を抜いています。

ブランド力の証明 ― アモーレパシフィックの1万6,000件超の商標登録

一方、化粧品業界で長年ブランド戦略を牽引してきたアモーレパシフィックは、1万6,514件という驚異的な商標登録数で首位に立ちました。「雪花秀」「ヘラ」「ラネージュ」などの代表ブランドを抱え、国内外市場への展開を見据えたブランド保護戦略が商標出願の多さに現れています。

同グループ会社や競合のLG生活健康、CJ、ロッテといった企業も上位に名を連ねており、韓国の消費財・日用品業界がいかにブランド競争を重視しているかが浮き彫りになっています。

知的財産大国・韓国の未来予測

韓国は2023年時点でGDP比の特許出願数が世界1位、総出願件数は世界4位(24万3,310件)という成果を収めており、名実ともに「知財強国」の地位を築いています。

特許庁は今後、特許と商標の登録数がそれぞれ2027年・2029年に300万件を突破すると予測しており、知的財産を基盤にした経済成長モデルがさらに加速することが期待されます。

数字の裏にある産業発展の軌跡

今回の調査は、単なる「登録数の競争」を超えて、韓国企業がいかにして世界市場での地位を築き、ブランドと技術を守り続けてきたのか、その軌跡を示すものです。サムスンやアモーレパシフィックといった企業の取り組みは、知財の重要性を再認識させてくれる好例です。

今後、経済の不確実性が増す中でも、韓国企業が知的財産を武器にどのように持続的成長を実現していくのか、注目が集まります。