2026年1月8日、KPMGコンサルティングが、KDDIの知財・無形資産戦略の策定を支援したと発表しました。本件は、単なる知財管理の高度化にとどまらず、企業価値の捉え方そのものが変化していることを象徴する動きとして注目に値します。
KDDIは「KDDI VISION 2030」のもと、中期経営戦略の中核にサステナビリティ経営を据えています。ここで重要なのは、サステナビリティを理念や社会貢献活動として位置づけるのではなく、事業戦略および経営基盤の強化と不可分のものとして扱っている点です。ESGへの対応も、結果として財務価値と非財務価値を同時に高める経営判断として組み込まれています。
今回の支援内容で特に注目すべきは、特許やノウハウ、ブランドといった知財・無形資産を、事業ごとのビジネスモデルに即して再定義している点です。従来、知的財産は「守るべき資産」や「コスト管理の対象」として扱われがちでした。しかしKPMGは、収益性への貢献度や事業間シナジーという視点から個別資産を評価し、ポートフォリオとして可視化しました。これは、知財・無形資産を経営資源として積極的に活用する姿勢を明確に示すものです。
さらに、このポートフォリオを起点に、各事業のビジネスモデルをどのように強化できるかについて仮説を立て、検証を行っている点も重要です。中核となる知財・無形資産を循環させ、そこから持続的な価値創造ストーリーを描くというアプローチは、短期的な成果よりも中長期的な競争優位の確立を志向していることを示しています。
この取り組みは、通信事業者に限らず、多角化が進み、事業環境の変化が激しい企業全般にとって示唆に富んでいます。無形資産は貸借対照表に十分に表れにくい一方で、将来価値の源泉となる要素です。それを戦略的に整理し、事業成長やESGと結び付けて語れるかどうかが、今後の企業評価を大きく左右すると考えられます。
KPMGコンサルティングが掲げる「専門性とネットワークを生かした支援」は、こうした経営課題に直面する企業にとって、単なる外部アドバイザー以上の意味を持ちます。今回のKDDIの事例は、日本企業が知財・無形資産を経営の中核に据え、サステナビリティと成長を両立させていく一つのモデルケースとして、今後も参照されていくのではないでしょうか。
