最新の横浜税関の発表によると、2023年に偽ブランド品などの知的財産侵害物品の輸入差し止め件数が前年比で2088件増の1万2485件となり、3年ぶりに増加に転じました。これは、2020年に次いで過去2番目の多さです。この増加の背後には、法改正による取り締まりの強化があるとみられます。
差し止め点数は3284点減の5万2759点と、点数では減少していますが、5年連続で5万点を超えるという、依然として高い水準を保っています。衣類が3933件で最も多く差し止められ、その中には米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の偽ユニホームも含まれていることが報じられました。バッグ類、携帯電話とその付属品、靴類、時計類といった品目も多数差し止められています。
輸入元国別では、中国が1万655件で8割強を占め、これに台湾、マレーシア、タイが続きます。このデータは、特定の国々からの知的財産侵害物品の流入が依然として大きな問題であることを示しています。
この増加は、法改正による取り締まりの強化が直接的な要因と考えられますが、その背後には、知的財産の保護というより広い視点が必要であることを示唆しています。法改正による取り締まり強化は、一時的な効果をもたらすかもしれませんが、根本的な問題解決には至りません。
偽ブランド品の輸入差し止めの増加は、一方で消費者の意識の変化や、偽物を購入するリスクの認識の高まりを促しています。消費者自身が偽物の購入を避け、正規品を購入することの重要性を理解することが、長期的な解決策の一つとなり得ます。
また、国際的な協力もこの問題解決には欠かせません。知的財産権の侵害は、国境を超えた問題であり、各国が連携して対策を講じる必要があります。技術の進歩を活用した偽物の特定や追跡、情報共有の強化は、この問題に取り組む上での重要な手段となります。
最後に、法改正による取り締まりの強化は、偽ブランド品の流通を防ぐための有効な手段の一つですが、消費者教育や国際的な協力など、多角的なアプローチが重要であることを忘れてはなりません。知的財産権の保護は、法律の枠組みだけでなく、社会全体の意識の変化にも依存しています。
