3月、人気アニメシリーズ「プリキュア」に関する騒動がネット上で話題となりました。プリキュア公式のXアカウントが新商品の告知を行った際、その商品に使われたイラストが「生成AIを使って作成されたのではないか」と一部のユーザーから非難を受けました。この非難は次第に大きくなりましたが、実際にはAIが生成したものではなく、手描きによるものであることが公式に発表されました。
この一件は、生成AIに対する不安や嫌悪感が強く表れた例といえます。生成AIによるコンテンツ生成には、多くの懸念が存在しますが、それが直ちに問題であるとは限りません。問題の多くは、生成AIの開発や利用方法によって回避可能です。
今回の騒動の背景には、生成AIに対する激しい嫌悪感があると考えられます。米MITの研究によれば、人はコンテンツが人間によって作成されたか、AIによって生成されたかを知っている場合、人間が作成したコンテンツを好む傾向があるとされています。この「人間びいき」の感情が、プリキュアの騒動や他の事例にも影響を与えているのでしょう。
企業が生成AIに対する反発を回避するためには、透明性を持ち、自社のスタンスを明確にすることが重要です。「人間のクリエイターを大事にする」という姿勢を打ち出す企業もあれば、「顧客が喜ぶコンテンツを安く提供するために生成AIを利用する」という企業もあります。どちらの姿勢も、明確にし、説明できる体制を整えることが求められます。
企業はあらゆるコンテンツのトレーサビリティを確保し、生成AIの利用を明示することが必要です。しかし、単に「AIを使ってほしくないから反対する」というキャンセルカルチャーは、結果的にクリエイターにとっても不幸な結果を招く可能性があります。生成AIをどう活用し、企業とクリエイターの双方が幸せになれる方法を冷静に話し合う時期に来ているのです。
生成AIの活用には、法的な問題への対処が必要ですが、AIによる新しい表現の可能性もあります。企業とクリエイターが共に進む道を模索し、建設的な対話を進めることが重要です。
