韓国で「ヒット曲製造機」として名高い作曲家、キム・ヒョンソク氏が、最近の作曲公募展での審査員としての経験をX（旧ツイッター）に綴りました。彼の感想は、自虐的な表現で優勝曲がAIによって作られたことへの驚きと戸惑いを示しています。
市場分析会社マーケット・ドット・アースの予測によれば、生成型AIを利用したグローバル音楽市場の規模は、2022年の約2900億ウォンから2032年には約3兆3800億ウォンへと11倍に成長する見込みです。AIが和声学を理解し、自然なコード進行をもった作曲が可能になったことで、和声学の知識がなくても数分でポピュラー音楽を作成できるようになりました。
昨年公開されたグーグルの「ミュージックLM」は、「夕食パーティーにふさわしい」といった抽象的な指示でジャズを作り出すことができ、メタがオープンソースとして発表した「ミュージックジェン（Music Gen）」は、80秒あれば10秒の音楽を生成します。
AI技術の進化に伴い、編曲や創作のプロセスでの人件費や時間の節減が可能となり、韓国の音楽業界でも関連技術への投資が活発化しています。例えば、ジニーミュージックは2022年にスタートアップのジュースを買収し、その技術を活用して歌手テイの「同じ枕」を編曲し、ドラマの挿入曲として使用しました。
しかし、技術の進化と共に著作権問題も浮上しています。現行の著作権法では権利主体は人間に限られており、AIが生成した作品の権利は認められていません。韓国音楽著作権協会は、AIが作曲した作品「愛は24時間」を登録し、著作権料の支払いを取りやめました。
今後、人間とAIの協業を認めるための制度整備が必要です。クリエイティブマインドのイ・ジョンヒョン代表は、「AIだけでなく、人間の作曲家が後処理の形で創作に携わることもある」と述べ、多様な創作形態を認めるための制度整備の重要性を指摘しています。
AI技術が進化する中で、人間とAIの共創が音楽業界にもたらす影響は計り知れません。法的整備と技術の発展が進む中で、音楽の創作プロセスは今後ますます多様化し、新しい音楽の形態が生まれていくことが期待されます。
