2024年4月12日、中国の環球時報は、インドの製薬会社が肥満治療薬のジェネリック薬で世界市場の独占を目指しているという記事を掲載しました。この記事はインドメディアが8日に報じた内容を元にしており、ノボ・ノルディスクの肥満治療薬の特許切れが近づいていることを背景に、インドの製薬会社バイオコンが肥満治療薬事業に参入する予定であることを伝えています。
インドの製薬業界の現状と優位性
インドの製薬業界は既に世界最大のジェネリック医薬品供給国としての地位を築いており、その技術力と豊富な人材、充実した基礎研究により、欧米市場への製造申請も行っています。北京銘研究医薬研究有限公司のCEO、何小炳(ハー・シアオビン)氏は、インドが世界の製薬業界で上位に位置する理由を「発達した製薬システム、豊富な人材、欧米並みの管理基準」と説明しています。
インド製薬評議会(PCI)のデータによると、世界のジェネリック医薬品の25%、米国のジェネリック医薬品の40%がインドから供給されており、インドの製薬業界が持つ強力な供給力が浮き彫りになっています。
品質問題と課題
しかし、インド製薬業界には品質管理の問題も指摘されています。全米経済研究所の報告によると、審査されたインド製医薬品の10%近くに有効成分含有量不足が見られ、これが患者の生命を危険にさらす可能性があることが懸念されています。死亡事故も報告されており、品質管理の改善が急務とされています。
世界市場での競争と未来展望
盤古シンクタンクの江瀚(ジアン・ハン)上級研究員は、インドが肥満治療薬の世界市場を独占するには、技術、資金、市場アクセスなど多くの課題を克服する必要があると述べています。インドの優位性は認めつつも、世界市場の多様化と国ごとの規制要件の違いが独占を難しくしているとの見解を示しました。また、中国も肥満治療薬産業の発展を進めており、インドにとって大きなライバルとなることが予想されています。
インド製薬業界の未来
インドの製薬業界が世界市場でどのように発展していくのか、注目が集まっています。特許切れの肥満治療薬をジェネリック薬として製造・供給することで、インドがどれほどのシェアを獲得できるかは今後の動向次第です。品質管理の強化と市場アクセスの拡大がカギとなり、これらを克服できればインド製薬業界はさらに成長し、世界市場での存在感を高めることができるでしょう。
インドの製薬業界の挑戦とその未来を見守りつつ、私たちも健康と医療の進展に期待を寄せたいと思います。