2025年4月24日、海外メディア大手のZiff Davisが、OpenAIに対して著作権侵害を理由に訴訟を提起したというニュースが報じられました。IGNやEurogamerといった有名ブランドを傘下に持つZiff Davisによる今回の訴訟は、生成AIを巡る著作権問題がさらに深刻化していることを象徴する動きです。本記事では、このニュースの背景と今後の影響について考察します。
訴訟の背景──GPTBotによるデータ収集と著作権侵害
Ziff Davisによると、OpenAIは自社のAI開発にあたり、GPTBotというクローラーを使ってネット上から情報を収集してきたとのこと。その際、Ziff Davisが著作権を保有する記事も無断で利用されていたとされています。さらに、OpenAIがrobots.txtを用いてクロール拒否できると説明していたにもかかわらず、実際にはそれが機能していなかったと指摘しています。
これは、単なる技術的トラブルにとどまらず、「意図的かつ執拗な著作権侵害」として認識されたため、今回の訴訟に至ったものとみられます。
分岐するメディア界の対応──訴訟か提携か
OpenAIに対しては、The New York Timesをはじめ複数のメディアがすでに著作権侵害で訴訟を提起しており、裁判は続行中です。一方で、The Washington PostやThe Guardianのように、OpenAIと提携関係を築く道を選ぶメディアも存在しています。
つまり、世界のメディア業界は今、「対立」か「共存」かという大きな選択を迫られている最中だと言えます。
今後の焦点──「フェアユース」の限界とは
OpenAI側は、過去の訴訟でも一貫して「フェアユース(公正利用)」を主張してきました。しかし、営利目的で生成AIを開発・商用化している以上、フェアユースがどこまで認められるかは大きな争点となります。
今回のZiff Davisの訴訟も、判決によっては生成AIのデータ収集・利用方法全体に影響を与える可能性があり、単なる一企業間のトラブルにとどまらない広がりを持つ案件になりそうです。
まとめ──「AIと著作権」問題は次のフェーズへ
Ziff Davisの提訴は、生成AIと既存コンテンツホルダーとの間で続く緊張関係が、さらに表面化したことを示しています。今後も同様の訴訟が増える可能性がある一方、提携による新たな共存モデルも模索されるでしょう。
生成AIの発展とともに、著作権制度のあり方そのものが問われる時代が、いよいよ本格的に到来しているのかもしれません。