サムスン電子の特許首位が示すもの――減少局面における「量」と「質」の意味

米国における特許動向をまとめた最新の報告書によると、サムスン電子が2025年に米国で最も多くの特許を取得した企業となりました。これで4年連続の首位維持となり、同社の研究開発力と知的財産戦略の強さが改めて浮き彫りになっています。

特許全体は減少、それでも存在感を示すサムスン

米国の特許情報企業の調査によれば、2025年に米国で登録された特許件数は約32万件でした。これは前年から減少しており、2019年以降で最も低い水準とされています。世界的な景気減速や研究開発投資の選別が進んだ結果と見ることもできるでしょう。

そのような環境下で、サムスン電子は7054件もの特許を取得しました。これは全体の2%以上に相当し、前年から約11%の増加です。特許総数が減る中で取得件数を伸ばしている点は、単なる規模の大きさだけでなく、研究開発への継続的な投資姿勢を示していると言えます。

ディスプレイ・電池分野の躍進が示す戦略性

注目すべきは、サムスン電子だけでなく、関連企業の動きです。サムスンディスプレイが特許取得数で5位に入ったほか、LGグループ各社も順位を上げています。特に電池分野を担う企業が大幅に特許数を増やした点は、次世代産業を見据えた布石と考えられます。

特許は単なる「技術の証明」ではなく、将来の事業競争における交渉力や参入障壁として機能します。電気自動車やエネルギー貯蔵といった分野で、今後特許の重要性が一段と高まることを考えると、これらの動きは極めて戦略的です。

自動車メーカーの存在感と産業構造の変化

完成車メーカーが特許ランキングで存在感を示している点も見逃せません。自動車が「走る機械」から「動く電子機器」へと進化する中で、ソフトウェアや電動化、バッテリー技術に関する特許が競争力の源泉になっています。

特許取得数の増加は、単に技術開発が活発であることを示すだけでなく、産業構造そのものが変化していることの表れとも言えるでしょう。

アジア企業が占める6割の意味

全体の約6割をアジア企業が占め、特に韓国企業の特許登録件数が前年比で大きく増えた点は印象的です。米国特許出願全体が減少する中でも、アジア企業は攻めの姿勢を崩していないことが分かります。

これは短期的な景気動向よりも、中長期の技術覇権を見据えた動きと考えられます。特許は将来の市場を先取りするための「静かな競争」であり、今回の数字はその一端を示しているに過ぎません。

おわりに――特許数の先にあるもの

特許取得数の多さは分かりやすい指標ですが、本当に重要なのはその中身と活用方法です。とはいえ、全体が縮小傾向にある中で取得件数を伸ばし、首位を維持している事実は、企業の研究開発体制が揺らいでいないことを示しています。

今回のニュースは、特許という視点から見た国際競争の現在地を教えてくれます。今後、これらの特許がどのような製品やサービスとして結実するのか、引き続き注目していきたいところです。