DUNLOPブランド再構築が示す住友ゴムの次の一手

住友ゴム工業が、2026年1月1日からマレーシア・シンガポール・ブルネイにおける「DUNLOP」商標の独占使用権を取得すると発表しました。この動きは、単なる販売権の移管にとどまらず、同社がグローバルで展開するブランド戦略の深化を象徴する出来事だと感じます。

DUNLOPは130年以上の歴史を持ち、世界初の技術をいくつも生み出してきたブランドです。その革新性と信頼性は、長年にわたって消費者の支持を集めてきました。今回の独占使用権取得は、そのブランド力をより戦略的に活用しようとする住友ゴムの強い意志の表れといえます。

また、ONE DUNLOPの理念のもと、地域ごとに分断されがちだったブランド体験を再統合し、世界共通の価値として届ける姿勢も印象的です。製品や広告、店舗など、あらゆる顧客接点で体験価値を統一することで、ブランドとしての一貫性を高め、長期的なファンづくりにつながっていくはずです。

さらに、プレミアム商品の展開やモータースポーツへの参入、スポーツ領域との連携など、ブランド価値を多面的に高める施策も並行して進められています。特に、テニスやゴルフといったスポーツが持つアクティブで前向きなイメージは、DUNLOPが本来有する「挑戦」「革新」といった価値と非常に相性が良く、ブランド好意度の向上に寄与するでしょう。

加えて、欧州を起点としたブランド発信力強化や、顧客接点のさらなる拡大も計画されています。グローバル市場での存在感を高めるためには、ローカルな文脈を理解しながらも、統一されたブランドメッセージを継続して届けることが重要であり、その基盤づくりを進めていることがうかがえます。

今回の独占使用権取得は、東南アジア市場での事業強化だけでなく、DUNLOPブランド全体の再構築に向けた大きな一歩です。住友ゴムが描く“ONE DUNLOP”の世界観がどのように形づくられていくのか、今後の展開にも注目していきたいと思います。