韓国銀行が発表した「2025年上半期 知的サービス貿易統計」によると、韓国のコンテンツ産業は過去最高の黒字を記録しました。輸出57億8千万ドル、輸入32億8千万ドルで、差し引き25億1千万ドルの黒字。とりわけゲーム産業が突出しており、22億6千万ドルの黒字を叩き出しました。音楽も5億9千万ドルと存在感を増しています。いわゆる「K-コンテンツブーム」が、数字の上でも確固たる成果を示したといえます。
一方で、知的サービス全体の収支は45億2千万ドルの赤字。特許・商標にかかるロイヤリティの支払い増加、海外製ゲームやOTT、AIアプリ、購読サービスなどの需要増により、知的財産権使用料の赤字は過去6か月でさらに10億ドル拡大しました。つまり、韓国は「コンテンツを輸出して稼ぐ」一方で、「源泉技術やプラットフォーム利用料の輸入」によって支出も増えているのです。
輸出の稼ぎ頭は「ゲーム」と「音楽」
韓国のコンテンツ産業といえばK-POPやドラマが注目されがちですが、統計をみると圧倒的にゲームが主役。すでに世界市場に深く浸透し、東南アジア・中国での人気が数字を押し上げています。音楽もグローバルファンダムの拡大により黒字幅を拡大しました。
輸入増は「技術依存」の裏返し
赤字の主因は、特許や商標などの産業財産権。さらにNetflixや米国系のOTTサービス、AIアプリといった「プラットフォーム依存」による著作権料の増加です。韓国が最終製品やサービスで世界に打って出る力を持ちながら、その背後では源泉技術や基盤サービスの輸入に依存している構造が浮かび上がります。
「黒字」と「赤字」は表裏一体
韓国銀行も指摘するように、知的財産権の赤字は「生産・投資拡大のために避けられない側面」でもあります。競争力を維持するには、外部技術やプラットフォーム利用が欠かせない。その結果、赤字はある種の「成長コスト」として捉えることもできるでしょう。
まとめ
韓国のコンテンツ産業は、K-コンテンツブームを追い風に過去最高の黒字を記録しました。しかし同時に、知的サービス全体では赤字が拡大しており、源泉技術やプラットフォームに依存する経済構造も鮮明になっています。
これは「輸出で稼ぐ韓国」と「知的財産権で支払う韓国」という二つの顔を持つ経済モデルであり、いかに自前の源泉技術やプラットフォームを確保できるかが、今後の韓国産業の持続的成長を左右するでしょう。